入浴介助は介護職にとって日常的な業務の一つであると同時に、事故が発生しやすい場面ともいえます。安全な入浴介助を行うためには、どのような事故が起こりうるのかを理解し、予防策を講じることが重要です。

浴室は、湿度が高く床が濡れた状態であるため、滑りやすくなっています。さらに、石鹸を使うことでより滑りやすくなり、転倒事故の可能性が高まります。高齢者は、身体機能の低下や病気の影響で体感や足腰が弱り、バランスを崩しやすくなっていることが多いです。また、浴槽の縁や、浴室と脱衣所の間にある段差につまづき、転倒事故につながるケースも少なくありません。これらの段差は高齢者にとって大きな障害となり得るため、注意が必要です。段差がない環境でも油断せず、常に安全に配慮しながら入浴事故の防止に努めましょう。

このほか、入浴中に起こりやすい事故にはヒートショックと熱中症も挙げられます。ヒートショックは、急激な温度変化によって血圧が大きく変動し、心臓や血管に負担がかかることで起こります。特に冬場、寒い脱衣所から暖かい浴室へ移動する際、あるいは熱い湯船から立ち上がる際に発生しやすいため注意が必要です。熱中症は、高温多湿の浴室という環境で体温調節機能がうまく働かなくなることで起こります。特に夏場はただでさえ多くの汗をかく季節であり、それが高温多湿の場所であればより多く汗をかくことになります。夏場はもちろんのこと、冬場でも高温の浴室では熱中症のリスクがあります。介護職は、これらの事故のリスクを理解したうえで適切な予防策を講じ、高齢者の安全を守りましょう。